死亡届を出したら銀行口座は止まるのか?|口座凍結とデジタル遺産・サブスクの手続き

大切なご家族を亡くされたあと、多くのご遺族が不安に思われるのが「銀行口座はどうなるのだろう」という点です。「役所に死亡届を出したら、その日から口座が止まって、当面のお金を引き出せなくなるのでは……」と心配される方は少なくありません。

結論からお伝えすると、死亡届を役所に提出しても、それだけで銀行口座が自動的に凍結されることはありません。ただし仕組みを正しく知らないままでいると、あとで思わぬ形で困ってしまうこともあります。

この記事では、口座が凍結されるタイミングと、止まる前にやっておくと安心なことを分かりやすく整理します。あわせて、近年見落とされがちなデジタル遺産サブスクの解約、そして元気なうちに設定しておけるAppleの「デジタル遺産プログラム」まで、ご家族が困らないための備えをまとめました。読み終えるころには、「何を、いつ、どうすればよいか」が見通せるようになります。

こんな方に役立ちます

  • 死亡届を出すと口座がすぐ止まるのか知っておきたい方
  • 口座が凍結される前に、何をしておけばよいか知りたい方
  • ネット銀行・スマホのパスワードなど「デジタル遺産」が心配な方
  • 家族に迷惑をかけないよう、元気なうちに整理を始めたい方

著者|室井

藤井祭典

市川市の方々と共に50年。“小さな葬儀社だからこそ、小さなところまで気づける”運営を続けています。
専門知識と経験をいかし、市川市を中心に、葬儀に役立つ情報をわかりやすく発信します。
終活の制度・費用・手続きのつまずきやすい所を、実例を交えてていねいにお伝えします。


目次

死亡届を出しても、銀行口座はすぐには止まらない

「死亡届を出したら口座が凍結される」というのは、実はよくある誤解です。役所と銀行のあいだに、死亡を自動で知らせる仕組みはありません。安心して手続きの流れを確認していきましょう。

凍結されるのは「銀行が死亡を知ったとき」

市区町村の役所に死亡届を提出しても、その情報が銀行へ通知されることはありません。口座が凍結されるのは、銀行が名義人さまの死亡を把握した時点です。多くの場合、ご遺族からの相続手続きの連絡がきっかけになります。ほかにも、新聞のお悔やみ欄や地域での情報から銀行が把握するケースもあると言われています。

ここで大切なのは、口座は銀行ごとに、個別に凍結されるという点です。たとえばA銀行に連絡して手続きを始めても、B銀行やネット銀行の口座が自動的に止まるわけではありません。それぞれの金融機関に対して、別々に手続きを進めていく必要があります。

凍結されると何が起きる?

口座が凍結されると、預金は相続手続きが整うまで動かせなくなります。一般的に、次のようなことが起こります。

  • ATMや窓口での入金・出金ができなくなる
  • 公共料金・家賃・クレジットカードなどの自動引き落としが止まる
  • 年金などの入金の受け取りもできなくなる

とくに見落としがちなのが引き落としです。電気・ガス・水道・通信費などが故人さまの口座から引き落とされている場合、凍結によって支払いが止まり、あとから未払いの連絡が届くことがあります。放置すると契約者ご本人であるご遺族の生活に影響することもあるため、早めの名義変更や支払い方法の見直しが安心です。

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口座が止まる前に、やっておきたいこと

凍結は「銀行が知ったとき」に起こるため、それまでの間にご遺族が落ち着いて準備できる時間があります。あわてて多額を引き出す必要はありませんが、次の点を意識しておくと安心です。

当面の生活費と、葬儀・当座の費用を確認する

凍結後は預金を自由に動かせなくなるため、当面の生活費や葬儀にかかる費用の見通しを立てておくと落ち着いて対応できます。ただし、故人さまの口座からの引き出しは、のちの相続で他のご家族との間でトラブルになることもあります。引き出した場合は使い道の分かる記録や領収書を残しておくと、あとの説明がしやすくなり安心です。

引き落とし口座を洗い出して、切り替えを検討する

公共料金や通信費、サブスクなどが故人さまの口座から引き落とされていないかを確認しましょう。今後もご家族が使い続けるサービスは、早めにご遺族名義の口座やカードへ切り替えておくと、支払いが途切れず安心です。

遺産分割前でも使える「払戻し制度」を知っておく

2019年の民法改正により、遺産分割前でも一定額までは預貯金を払い戻せる制度が設けられています。これにより、当面の生活費や葬儀費用などに充てられる場合があります。

払い戻せる金額の目安は、一般的に「相続開始時の預金額 × 1/3 × その方の法定相続分」とされ、1つの金融機関につき上限150万円までとされています。ただし、必要書類や取り扱いは金融機関によって異なり、制度の内容も変わることがあります。実際に利用される際は、取引先の金融機関や専門家にご確認いただくと確実です。

見落としがちな「デジタル遺産」の問題

近年、相続の現場で急速に増えているのがデジタル遺産(デジタル遺品)にまつわる困りごとです。通帳のない資産や、スマホの中にしか手がかりがない契約が、ご遺族を長く悩ませることがあります。

たとえば、次のようなものが挙げられます。

  • ネットバンキング・ネット証券の口座(通帳や郵送物がなく存在に気づけない)
  • 暗号資産(仮想通貨)などのオンライン資産
  • スマホ・パソコンのロック(暗証番号が分からず中身を確認できない)
  • 各種サービスのIDやパスワード

とくに困るのが、スマホやパソコンのロックが解除できず、資産や契約の全体像がつかめないというケースです。どこに何があるのか分からないまま、手続きが進められなくなってしまいます。

こうしたトラブルを防ぐいちばんの対策は、元気なうちにご本人が情報をまとめておくことです。利用しているネット銀行・証券・サービスの一覧、連絡先、そして家族が困らないための最低限の手がかりを、エンディングノートなどに残しておくと、ご家族の負担は大きく軽くなります。

サブスクの解約を忘れずに

見落とされやすいのが、サブスクリプション(月額・年額の定額サービス)の解約です。動画配信、音楽配信、有料アプリ、クラウドの保存容量など、故人さまが契約していたサービスは、解約しない限り自動的に課金が続いてしまいます。

これらは通帳に「サービス名」がはっきり出ないことも多く、気づかないうちに支払いが続いていた、ということが起こりがちです。次のような手がかりから、契約を洗い出していきましょう。

  • クレジットカードの利用明細を数か月分さかのぼって確認する
  • メールの受信箱を「領収書」「ご利用」「更新」などで検索する
  • スマホのホーム画面にあるアプリから契約中のサービスを推測する

契約先が分かったら、各サービスの窓口や案内に沿って解約手続きを進めます。カードや口座が止まれば課金も止まるように思えますが、未払い扱いで契約が残り続けることもあるため、サービスごとにきちんと解約することが大切です。

【事前設定が鍵】Appleの「デジタル遺産プログラム」

デジタル遺産の対策として、いま注目したいのが、iPhoneでおなじみのAppleが用意している「デジタル遺産プログラム」です。これは、元気なうちにご本人が設定しておくことで、万一のときにご家族がデータへアクセスできるようにする仕組みです。

あらかじめ「故人アカウント管理連絡先(Legacy Contact)」として家族などを登録しておくと、いざというときに、登録されたご家族が発行された「アクセスキー」と「死亡証明書」を使って、故人さまのApple ID・iCloudのデータにアクセスできるようになります。アクセスできる主な内容は次のとおりです。

  • 写真・メッセージ・連絡先・メモ
  • iCloudに保存されたバックアップ など

知っておきたいポイントもあります。承認後にアクセスできる期間はおよそ3年間とされ、その後アカウントは削除されます。また、iCloudキーチェーンに保存されたパスワード情報など、一部のデータはアクセスの対象外とされています。

設定は、iOS 15.2以降のiPhoneであれば、ご本人の端末から行えます。一般的な手順は次のとおりです(表示はOSのバージョンにより多少異なります)。

  1. 「設定」を開き、いちばん上の自分の名前をタップ
  2. 「サインインとセキュリティ」を選ぶ
  3. 「故人アカウント管理連絡先」から、信頼できるご家族を登録する

大切な写真や思い出を、ご家族に確実に引き継ぐための備えです。これはまさに、元気なうちにできる終活のひとつ。難しい手続きではありませんので、ご自身のスマホでぜひ確認してみてください。

元気なうちの整理が、残される家族を守る

ここまで見てきたように、口座の凍結・デジタル遺産・サブスク・スマホのデータは、いずれもご本人が元気なうちに少し整理しておくだけで、ご家族の負担が大きく変わるものばかりです。特別な知識がなくても、「どこに何があるか」を書き残しておくことから始められます。

とはいえ、「何から手をつければいいか分からない」「うちの場合はどうすれば」と迷われることもあると思います。そうしたときは、経験のある専門のスタッフに相談しながら進めると安心です。藤井祭典では、生前のご準備や終活のご相談を無料でお受けする事前相談を承っています。

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よくある質問

口座が凍結されると、本当に何もできなくなりますか?

相続手続きが整うまで、入出金や引き落としは止まります。ただし前述の「払戻し制度」を利用すれば、一定額までは遺産分割前でも払い戻せる場合があります。金額の目安や必要書類は金融機関により異なるため、取引先にご確認ください。

解約すべきサブスクは、どうやって探せばよいですか?

クレジットカードの利用明細を数か月分さかのぼる、メールの受信箱を「ご利用」「更新」などで検索する、スマホに入っているアプリを確認する、という3つが手がかりになります。故人さまのカード明細は、月ごとに定額の請求がないかを見ていくと見つけやすくなります。

Appleの「デジタル遺産」の設定は難しいですか?

いいえ、iPhoneの「設定」から数分でできます。ご本人の端末で「自分の名前 → サインインとセキュリティ → 故人アカウント管理連絡先」と進み、信頼できるご家族を登録するだけです。元気なうちにしか設定できないため、早めの準備がおすすめです。

まとめ

死亡届を出しても、それだけで銀行口座がすぐに凍結されるわけではありません。凍結されるのは銀行が死亡を把握したときで、しかも銀行ごとに個別に行われます。
凍結される前に、当面の生活費や引き落とし口座を確認しておくと安心です。
あわせて、ネット銀行やスマホの中にある「デジタル遺産」、解約を忘れがちなサブスクにも目を向けておきましょう。
Appleの「デジタル遺産プログラム」のように、元気なうちの少しの準備が、残されるご家族を大きく助けてくれます。

何か困りごとがありましたら、藤井祭典までお気軽にお電話ください。24時間365日、無料でご相談を承っております。

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監修者|高橋 亮

株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮

葬儀業界専門の集客支援や人材サービスを手がける株式会社ディライト代表。葬儀・供養分野に特化したWebサービス「葬儀の口コミ」「お墓の口コミ」などを運営し、業界のデジタル化を推進している。
著書『後悔しない葬儀とお墓選び』(クロスメディア・パブリッシング)はAmazon冠婚葬祭部門で1位を獲得。
2025年8月26日にはフジテレビ『サン!シャイン』にてコメンテーターとしてテレビ出演。

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