ご家族にご不幸があったとき、多くの方が最初に戸惑われるのが「喪主を誰が務めるべきか」という点です。
急な場面では、悲しみと同時に連絡・手続き・費用のことが一度に重なり、「誰が中心になればよいのか」が分からなくなることも自然なことです。
この記事では、喪主の役割、一般的な考え方、迷いやすいケース別の整理、家族での話し合いの進め方、葬儀社へ相談するときの伝え方を、順番にまとめました。
「そもそも何から考えればよいのか分からない」という方も、どうぞ落ち着いてお読みください。
著者|中野
藤井祭典
市川市で50年、地域の皆さまに寄り添ってきました。 “小さな葬儀社だからこそ、小さなところまで気づける”運営を続けています。
その現場感のある知見をもとに、市川市を中心とした葬儀に関する情報をを分かりやすくお伝えします。
市川市で喪主を誰が務めるか迷ったときの考え方
喪主とは何をする人か
喪主とは、ご遺族(ご家族)の代表として、ご葬儀全体の「窓口」になる立場です。
ただし、喪主がすべてを一人で抱える必要はありません。決めるべきところは決め、実務は分担しながら進めることで、負担を小さくできます。
喪主が担いやすいこと/分担しやすいこと(表)
| 区分 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 喪主が決めやすいこと | ご葬儀の方針(形式・規模)、大まかな日程、連絡の方針 | 「大切にしたいこと」を一つ決めるだけでも進みます |
| 喪主が対応しやすいこと | 葬儀社との打ち合わせ窓口、親族への要点共有 | 連絡係・会計係などは分担できます |
| 分担しやすいこと | 名簿づくり、供花や返礼品の確認、役所の手続き | 「動ける人」が担当すると、全体が楽になります |
まずは「窓口を一つにする」ことが目的です。喪主の名義が決まっていなくても、相談や手配は進められます。
喪主の決め方に、法律の決まりはあるのか
喪主の決め方は、一般に慣習(家庭の考え方)による部分が大きく、「この人でなければならない」という形の厳密な決まりはありません。難しく考えず、「その場を無理なく進めるための代表」と考えると整理しやすくなります。
優先順位は「目安」として知っておく
喪主は、一般的には「故人さまにもっとも近いご家族」が務めることが多いです。ただし、年齢や健康、仕事の都合、住まいの距離などで、無理が出ることもあります。
次の表は、あくまで目安としての優先順位です。ご家庭の事情に合わせて調整して問題ありません。
| 候補 | 選ばれやすい理由 | 迷ったときの確認事項 |
|---|---|---|
| 配偶者 | もっとも近い立場として | 体調面、手続きの負担が大きすぎないか |
| 子ども | 実務(連絡・打合せ)を進めやすい | 仕事調整、遠方の場合の移動負担 |
| 親 | 配偶者・子がいない場合など | 高齢の場合、無理をしない形にできるか |
| きょうだい・甥姪など | 関係性と動きやすさで決められる | 費用負担や役割分担を事前に確認 |
市川市で喪主選びに迷いやすい時は
市川市周辺では、ご家族が別々に暮らしている、仕事の調整が必要、親族が高齢である、といった事情が重なりやすく、喪主を一人に決めにくい場面があります。
迷いが出るときは、次の「迷いの種類」を先に整理すると話し合いが進みます。
誰が「連絡の中心」になれるか(電話・LINE・メールのまとめ役)
誰が「打ち合わせ」に参加しやすいか(平日日中の時間)
誰が「移動」しやすいか(斎場・火葬の立ち会い)
誰が「お金の確認」をしやすいか(見積もり、支払い、香典管理)
つまり、血縁の順番だけでなく、「現実に動けるか」を含めて決めるのが現実的です。
喪主を決めるときの5つの視点
家族で話し合うときは、視点をそろえるだけでまとまりやすくなります。次の5つで確認してみてください。
| 視点 | 確認したいこと | 例 |
|---|---|---|
| 気持ち | 故人さまに一番近かったのは誰か | 同居していた/介護していた など |
| 体調 | 通夜・葬儀の2日間を無理なく過ごせるか | 持病、睡眠、疲労の出やすさ |
| 時間 | 平日の打ち合わせや役所対応が可能か | 仕事の休みが取りやすいか |
| 距離 | 移動負担が大きすぎないか | 遠方から毎回来る必要があるか |
| 調整力 | 親族間の連絡や意見整理ができるか | 連絡網の作成、共有が得意か |
「配偶者が喪主であるべき」と決めつけるより、「配偶者を中心にしつつ、実務は子が担う」など無理のない形を選ぶことが大切です。
高齢の配偶者がいる場合/単身世帯の場合の考え方
近年は、高齢の配偶者が一人で抱え込みそうになるケースや、単身で暮らしていた方のご逝去で、親族が遠方から動くケースも増えています。
こうした場合は「名義」と「実務」を分けると、負担を下げやすくなります。
よくある決め方
| 状況 | 決め方の例 | メリット |
|---|---|---|
| 配偶者が高齢の場合 | 喪主:配偶者/実務:子ども | お気持ちを尊重しつつ、体力負担を減らせる |
| 配偶者のご不安が大きい場合 | 喪主:子ども/遺族代表:配偶者 | 判断の重みを分散できる |
| 単身で暮らしていた場合 | 喪主:きょうだい・甥姪/実務:近くの親族 | 移動や役所対応を現実的にできる |
「喪主=全部やる人」ではありません。ご家族の形に合わせて決めて大丈夫です。
家族で話し合うときの進め方
意見が分かれるときは、先に「決める順番」をそろえると揉めにくくなります。おすすめは次の順番です。
- 故人さまの希望が分かるか(宗教、形式、呼ぶ範囲)
- いま動ける人は誰か(体調・距離・時間)
- 喪主は誰が「窓口」になれるか
- 分担できる役割を先に決める(連絡・会計・手続き)
- 最終確認(見積もり・日程・親族連絡)をどこで行うか
「喪主を決めてから分担」ではなく、「分担を決めたら、喪主が決まりやすくなる」ことも多いです。
役割分担の例
| 役割 | 内容 | 担当の例 |
|---|---|---|
| 喪主 | 方針の最終判断、葬儀社との窓口 | 配偶者/子ども |
| 連絡係 | 親族・知人への連絡、名簿整理 | きょうだい など |
| 会計係 | 費用の確認、香典の管理 | 信頼できる親族 |
| 手続き係 | 役所・保険などの届け出 | 近くに住む家族 |
葬儀社へ相談するときに伝えること
「喪主が決まっていないと相談できないのでは」と心配される方もいますが、結論から言うと、喪主が未定のままでも相談は可能です。
むしろ、早めに相談して「決め方」や「分担」の助言をもらうほうが、結果的に負担が減りやすくなります。
最初の電話で伝える3点
- 故人さまのお名前とおおよその年齢
- お亡くなりになった場所(病院・施設・ご自宅など)
- 喪主がまだ決まっていないこと(ご家族で話し合い中であること)
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よくある質問
配偶者がいるのに、子どもが喪主でもよいですか?
大丈夫です。体調や手続きの負担を考え、無理のない形を選ぶことが大切です。配偶者は遺族代表としてご挨拶を担うなど、役割を分ける方法もあります。
喪主が決まらないまま、葬儀社へ電話しても大丈夫ですか?
大丈夫です。喪主が未定であることを伝えたうえで、決め方や分担の整理から相談すると進めやすくなります。
親族が遠方で集まりにくい場合はどうすればよいですか?
まずは「連絡係」を決め、情報を一つにまとめましょう。日程や形式は、参列が難しい方には後日ご報告するなど、無理のない形で調整できます。
まとめ
喪主は、ご家族の代表として「窓口」を担う立場です。厳密な決まりに縛られるより、体調・時間・距離・調整のしやすさを含めて、無理なく進められる形を選ぶことが大切です。
決めきれないときは、役割分担を先に決める、葬儀社へ早めに相談して整理する、といった方法で負担を減らせます。
ご不安が大きいときほど、お一人で抱え込まないことが大切です。状況に合わせた進め方をご案内しますので、必要なときはご相談ください。
監修者|高橋 亮

株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮
葬儀業界専門の集客支援や人材サービスを手がける株式会社ディライト代表。葬儀・供養分野に特化したWebサービス「葬儀の口コミ」「お墓の口コミ」などを運営し、業界のデジタル化を推進している。
著書『後悔しない葬儀とお墓選び』(クロスメディア・パブリッシング)はAmazon冠婚葬祭部門で1位を獲得。
2025年8月26日にはフジテレビ『サン!シャイン』にてコメンテーターとしてテレビ出演。

